見かけによらずウブな社長秘書の躾け方 橘メアリー

作品の感想&レビュー

1. りょうま

   2024年6月4日

   恋愛が出来ないOLのレ○プから始まる恋

   会社では仕事ができる冷徹なエリート秘書、家では一人暮らしでもエプロンを着けて自炊する家庭的で親思いな女性という、橘メアリーのオンとオフにギャップのあるキャラ設定が素晴らしいと思いました。過去のトラウマから男性恐怖症で彼氏も作れず、病弱な母親に早く孫の顔を見せてあげたいけど、セックスに至る人間関係ができないままアラサーとなってしまった娘の心理など、ディテールの演出や女優の演技が高く評価されています。

   男優梅田演じる同僚が、社長が早退して密室になった社長室を利用して、手の届かない女性になる覚悟でレプを敢行します。フィニッシュが胸射なのはアタッカーズのAVとして微妙かもしれませんが、筋書き的には中出しまではしないという一線が人間性の描写として重要であり、ドラマ的には重要です。

   親に仕送りするためにも会社を辞めるわけにはいかず、事を荒立てたくないOLにつけ込んで凌を重ねる性奴関係から恋愛が始まる筋書きで、”匂い”が記憶や感情に訴える細かい描写が安っぽいご都合主義になっていないことや、レプの現場である社長室が愛のあるセックスの記憶で上書きされるなど、台本や演出はかなり細かいところまで考えられて作られています。最初のレプがタバコのにおいがするキスから始まり、エンディングをタバコのにおいがしないキスで締めたのも意図的だとすればだいぶ隙が無い。

   一方で、ちょいちょい出てくるオナニーシーンが中途半端だったり、レプが人生初のセックス？という曖昧さもあり、バイブで貫通は終わって本物のセックスを憧れる感覚から出発し、バイブが恋人になる変化があっても良かったかもしれません。社長室が貧相すぎる点など、まだ改善の余地があるかもしれませんが、演者の演技がドラマ的にもセクシャルにも素晴らしかったし、アタッカーズとしてはなぜか質がいまいちだった犬神涼監督がようやく納得の作品を提供してくれたことも考慮して、ちょっとオマケ気味で5つ星です。