「種が無くてもずっと一緒にいようね」と言っていた妻が、妊娠したから別れて欲しいと言ってきた。 希島あいり

作品の感想&レビュー

1. 山田太郎

   2024年1月5日

   夫が不倫妻を放流しての孕まされ寝取らせもの

   白峰ミウ監督の『単身赴任NTR』は、溜池ゴローのシリーズに似た内容でしたが、今作はそのさらに一歩進んだ作風でした。

   冒頭で夫が妻の秘密を知ってしまい、妻の不倫が始まる前から夫は全てを知っている状態でありながら、気付かないふりをして黙認するという間接的な寝取らせの要素が個性的でした。男優陣も監督のお気に入りのような顔だけで飽きてしまうほどよく使われていますが、夫役との組み合わせでフラットに見られる点も良かったです。

   妊娠しないはずの妻が上司の子供を妊娠するという事実を予期しつつ、夫の変態的な性癖がエスカレートしていく様子が究極の寝取られに至る過程で重要なポイントでした。同じ時期に公開された『クビにした部下が僕の目の前で妻を犯し続け、快楽に屈した妻は次第に感じ始め、絶頂していた。 二宮ひかり』も同様で、エキストラのキャスティングの重要性がよく分かる作品です。

   妻の本性を知りながら、その建前に興奮を覚えるという中盤の演出にも工夫がありました。上司との不倫が最初から妊娠を前提としていたことが徐々に明らかになり、他人の子供を妊娠させた妻と別れるつもりのない夫との間でどちらがヤバいのか、狂気さえ感じさせる心理戦が最後までレベルの高いものでした。

   カメラワークも状況に合わない意味不明なアングルや、孕ませ要素があるにも関わらず、精子の味がするキスなど、木村監督作品によく見られる演出はなく、集中力を途切れさせることなく見られた点も高評価です。

   エンディングが突然終わる感じや、些細な欠点はあるものの、カラミだけでなく夫との関係の緊張感を演じる女優の演技も含めて、総じて質の高い良作だと思います。

2. hiyoko

   2024年1月4日

   「作品の差別化」は、作り手のエゴでしかない

   希島あいりは細身で美しく、若い頃から容姿が変わらない。ベテランになってきた現在は落ち着きが増し、演技力も高く、非常に魅力的な女優だと思います。彼女の出演作品なら無条件で星５をつけたいところですが、今回は作り手が、このようなNTR物の他の作品とは異なる要素を出そうとしたことで、つまらない作品に仕上がってしまいましたので、評価を下げざるを得ません。

   題名から、夫に忠実な人妻が、他の男性から与えられる性的な喜びに抗えずに次第に堕ち、最終的に妊娠してしまい夫と別れるという典型的な内容を想像していましたが、違っていました。夫との別れのシーンは冒頭からで、不倫相手との関係は最初から存在している状態です。このような展開では、次第に堕ちるという過程を楽しむことができず、同じようなカラミが続いてしまいます。希島あいりに煽情的な下着を着せて最後のカラミで目を引かせたことは良かったですが、前述の展開のため、そこにはマドンナの学生時代のセクハラ教師～シリーズのような、堕ちた人妻の悲哀が感じられないのです。

   ありがちな展開との違いを出し、差別化を図ろうとしたのだと思いますが、ユーザーの期待と微妙にズレているように感じます。結局は作り手の自己満足によって、作品の価値が下げられてしまったように見えます。希島あいりの美しさだけで星３をつけました。